◯才男性
介護保険の設立について分かりやすく教えてください。
このような声にお応えします
介護保険は2000年に制度が開始しました。
それまで高齢者の福祉、医療を担っていたものは老人福祉法、老人保健制度でした。
しかし、問題点が多く新しい制度が必要になり、そこで始まったのが介護保険です。
今回はそんな以前の制度と新しい制度の違いを解説していきます。
ケアマネ試験でも出題されているのでしっかり押さえておきましょう。
筆者の紹介
- 介護7年→看護学校へ入学。
- 看護学校在学中に三度目の受験で第18回ケアマネジャー試験に合格しました。
- 看護師国試験の勉強と並行して研修を受講し資格取得。
- 看護師国家試験にも合格して現在は看護師として急性期病院に勤務しています。
本記事の内容
- 老人福祉法の5つの問題点
- 老人保健・老人医療の2つの問題点
- 介護保険の3つの特徴
それでは見て行きましょう。
目次
老人福祉法の5つの問題点
老人福祉法の5つの問題点
- 利用者の権利の保障が不十分
- 利用者がサービスを選択できない
- サービスが画一的
- 所得が高いほど負担が大きい
- 収入調査に対する抵抗感。
①利用者の権利の保障が不十分
行政処分の結果として受ける『反射的利益』とされており、サービスのための権利保障が不十分だった。
②利用者がサービスの選択ができない。
利用者がサービスを選ぶのではなく、市町村がサービスを決めるので利用者に選択権はありませんでした。
これを『措置』と言います。
③サービスが画一的
市町村が委託、直接サービスを提供しており、競争原理が働かずサービスの質が向上しませんでした。
市町村がすべて管理していたので、色々な会社が競い合ってサービスを提供するということが当時はなかったのです。
④所得が高いほど負担が大きい
当時は『応能負担』でした。
所得が高いほど利用負担額も大きくなっていました。
応能負担とは
- 利用者の負担する『能』力に『応』じて支払い額が決まるシステム
- 所得が高いほど支払う能力が高く支払額も大きくなる。
⑤収入調査に対する抵抗感。
『応能負担』であり、所得に応じて利用負担額が決まるため、サービスの利用にあたり収入を調査する必要がありました。
そうした調査に対する抵抗感がありました。
老人保健法・老人医療2つの問題点
介護保険スタート前、『老人福祉法』と、高齢者を支えていた制度に『老人保健制度』がありました。
高齢者の『入院』、『治療』などはこの制度でまかなわれていました。
しかし2つの問題がありました。
老人保健法の2つの問題点
- 社会的入院による医療費の増加
- 病院の生活環境は療養するのに不十分だった
①社会的入院による医療費の増加
社会的入院とは
- 家で1日中介護することができない
- 身内がおらず誰も介護してくれない
- 他に看てくれるサービスもない
などの社会的な事情による入院のこと
社会的入院が増えることで医療費が増大してきました。
また、社会的入院が多くなると本当に治療が必要な人が入院できない、治療が受けられないという問題が起こります。
②要介護者にとって病院の生活環境は療養するのに不十分だった
社会的入院が増加する一方で、従来の病院は食堂、浴室などの設備は不十分であり要介護者が生活するのには適さなかった。
また、老人福祉法、老人保健制度、バラバラの制度で高齢者を支えるための問題も起こっていました。
サービスによって窓口が違い利用しにくい仕組
サービスによって窓口が異なり高齢者にとって使いづらい状態でした。
使うサービスによって窓口はバラバラ
このような問題を受けて新たに介護保険制度が始まりました。
介護保険の3つの特徴
特徴は大きく下記の3つになります。
具体的に見て行きましょう。
- 自立支援を目指す
- 利用者の選択の尊重
- 社会保険方式
①自立支援を目指す
介護保険上の理念第1条の中に『その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう』とあり、援助者は存在能力、強みを見つけそれらを最大限に発揮するように働きかけていきます。
利用者の要介護状態をなどの軽減、または悪化の防止に役立つようにすることを目指しています。
②利用者の選択の尊重
この考えを元にサービスが『措置』→『選択』に変わりました。
利用者が自らの選択によりサービスを選択を行い、総合的なサービスを効率的に受けることができます。
介護支援専門員は利用者の意向を代弁を行い権利擁護(アドボカシー)を行うこと。
サービスを選択できるように支援を行います。
③社会保険方式の導入
介護保険が始まるにあたり『社会保険方式』が導入されました。
社会保険方式とは
- 加入者が一定期間に保険料を支払い、必要になった際に給付を受ける。
- 介護保険は基本的に『強制加入』である。
これによって『応能負担』→『応益負担』へと変わりました。
応益負担とは
- 利用者が得た利益に応じて支払い額が決まるシステム
- 利益を多く受ける(利用したサービスの量が多い)ほど支払額も増える。
まとめ
今回の記事では以下のことを解説しました。
介護保険以前の制度の問題点
- 利用者の権利の保障が不十分
- 利用者がサービスを選択できない
- サービスが画一的
- 所得が高いほど負担が大きい
- 収入調査に対する抵抗感。
介護保険制度の特徴
- 自立支援を目指す
- 利用者の選択の尊重
- 社会保険方式
今後、介護保険の記事を掲載していきますので勉強の参考にしていっていただければと思います。
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介護士を7年経験。副業アルバイトも加え猛烈に働き1年間で200万円貯金し看護学校へ。看護師へ転職し現在は急性期病院で2年目Ns+副業として介護施設でアルバイト+ブログにて情報発信中。ブログでは2桁の収益化に成功。
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